憂いの眼   曾根毅

憂いの眼   曾根毅

桃の花あまた仏壇水底に

天蓋の燃え残りたる虚空かな

祈る手を垂らしていたり雪催

冬銀河肺に溜まりし水のこと

元日の動かぬ水を眺めけり

冬雲と沼のあわいの深呼吸

冬林檎女の襞を映しけり

しばらくは日暮れに向かい孔雀の尾

みずすまし夜を数えているところ

火の鳥や憂いの眼さかしまに

作者紹介

  • 曾根 毅(そね・つよし)

1974年、香川県生まれ。「LOTUS」同人。現代俳句協会会員。

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