





第10回詩歌トライアスロン 選外佳作③
三詩型融合作品
ライブ菩薩 海音寺ジョー
補陀落の海でふしだらジャンク船ポケモンも拿捕うつせみの来世のプラン蝉丸の三線の張り黄昏の三千世界かつ丼と天ぷらうどんセルフレジ万札を吸い椰子の根はたちまち腐れ反感は付加価値とする遅効性ムヒ塗る地蔵白拍子然とした姪彩雲を六度視認法師蝉長寿センター安曇川に沈む野仏バルコンに投石するな別々の戸籍で旅行ハッキング出来ない文殊オレンジのシュシュの弾性まんまるのおにぎりを買うボールペンまた失くしてるスケルトンバッグの中身チョコレート・スナック菓子とクッキーとポテトチップと菓子ばっかやんけとロングテールのモガの湖西線晩夏の旅に思いを寄せて少し居眠り
サブカルの果ての古典に流氓の歴史を学ぶ安曇川が涸渇して来て青鷺がしょんぼり顔だ点描の前世譚にハーピーが群れ成して舞う深清水ランプで降りる半農半漁ばつの悪い日オービスで見つからぬ影ゴルゴンの首が砂丘にずぶずぶと消えて腥風ヴォートカをロックで頼み題名を知らぬボサノヴァ九竅に淑気が満ちてトスカナの細工師が咳四分五裂亀裂の街衢オルメタは忘却の果て石仏の象嵌の罅スカラベの金貨が摩耗昔日の歌を忘れて鉋屑西風に散り舎利弗が持論を枉げる霊鷲山しじまに溶けてアカシックレコードの唯一枚の書き損じが湖の中州にはらり落剥バッカスの裔の盲が椰子酒の質を弁じて白けつつ聴く
弁済を迫る商人凋落のマハラジャの鼻祖 無人駅から見る夏の雲 尖端恐怖症の蟷螂広告を読む痴呆老人エトランゼ躑躅の匂い犬からもらう洗濯ばさみ ボサノヴァに混ざるさざなみ蓬莱の駅のホームで青鷺がついばむ秘経マキノ駅だけの蝙蝠前世の報いなど無いデンプシーロールが転機竹生島けぶる三月ボートから転げる田螺松林はぎざぎざに伸び巾着の袋は黄ばむ車内灯いきなり消えてイマジンの熱源は冷え墓原に寝そべる仔山羊木目調シールが剥離バームクーヘン半分こする河内言葉で垂れる正論十五種類の喉飴を買うアブノーマルな火山活動廃屋めいたソーラーパネル彼岸花何度でも咲く酢昆布をリュックに仕舞う十一月の海津大崎
電柱に嵌める電飾ヒーローになれない定め霊障はガン無視してるドブ川沿いに咲く曼珠沙華京セラドーム近くの厠トタン屋根撥ね蟭螟が散りイルクーツクを覆う黒雲半信半疑平行世界一身上の都合ばっかり安住の地を求め客死か万物は流転も出来ずアフリカを中国が買う潦翳めてアルト岩の硬度のポスターカラー素潜りの巧い婆ちゃんランドセル植木鉢にし出刃包丁を丁寧に研ぐ生簀に雷魚クリークに猫円背の地蔵菩薩と有縁無縁閑話休題半魚人だらけのサウナ唐立の花糸引如来経皮鎮痛消炎パップ多肉植物南無阿弥陀仏対物レンズハスカップぽん酢アトラスサンタクロース仮初めの優しさは
皆目役に立たないのさフロントガラス映る秋桜停車場に咲く著莪の花
告発者 南無観世音 洗面器 アンニョンハセヨ 太鼓持ち 南無観世音 二万光年先の可視光
四間飛車からの中飛車 犬のうんこを捨てて出勤 自由行動 マイバースデイ 骨伝導 ハマダイコン 観光名所縦列駐車 法律事務所 かまぼこセール 永代供養 三寒四温 大名行列 父兄参観 トートバッグに蠍の刺繍 「かたじけない」と寝言のように 猫の脊梁トキソプラズマ 裏切り者しか居ない楽園 土砂降りの新旭にも 格安のソーラーパネル ハムサラダ ポテトサラダ コールスロー マカロニサラダ マルクスの そばかすの鼻 あぶく銭 はぶくレシート あずきバー犬歯で削る スクワットからバーピージャンプ TポイントとWAONポイント 同時に溜まるウェルシアアプリ 北小松駅前の墓地 秋雨の止んで夕焼け 近江舞子を過ぎると堅田 バラライカ 歯抜けのお婆 炊煙が届く天穹 比良山を滑る強風 ありふれた過去世なんか 黒壁の蔵にしまえよ 鱗雲十月に見て栄光を思い出せぬ夜もうじき京都
如是我聞やわらかな夜に
如是我聞ぶしつけな姉
如是我聞片目で覗く
如是我聞角生えぬ鬼
如是我聞涸れ川に月
如是我聞さんざめく星
如是我聞終わらぬ戦 如是我聞砂地でねむる
如是我聞俺に出来ること
如是我聞まだ走る車
如是我聞脱皮する蛇
まだ拡張しとどまらぬ街
ふみきり 緑川すに
ほら、
いつかあなたが
かざぐるまを買ってくれたことが
あったでしょう。
おぼえてなくてもいいよ。
ほら、ねむるような感じで
話せたらきっといいんだけれど
わたしもあなたも、あいにく眠るのはにがてだし
常夜灯だけの部屋では、
遠くの暴走族や、救急車の音を聞いていることが
なによりのお祈りだったよね。ほら、眠るのが得意じゃなくても
開けた窓に、呼吸がしづらくなって、あなたが
泣いているようにみえた。
花けむり 長い正午になるでしょう夢のほとりの横断歩道
ほら、
洗濯機は
いつも春の
さなかに壊れて
春にする花火は
いつもどちらかが
先に泣いてしまうね
ほら、
桜のすべてはかすり傷のようで
土曜日の戦争は紙吹雪のようで
さみしいのも恥ずかしいのも忘れるの言葉のさきの風のふみきり
ほら、
春や桜を知らない人だって、
さみしい気持ちになることはあります。
夕陽に照らされているとき、
公園の時計はいきものみたいに見える。
あのね、
わたしの
心なんて、
わたしとあなたの
ためだけにあるんだよ。
静かな部屋に
体をほうりなげたら、
百年かけてあなたと手をつなぎたい。
風が吹く、
水たまりがゆれる。
わたしたちはもう
戦争にいかなくていい。
ほら、ねむるような感じで
話せたらきっといいんだけれど
/風のふみきり
※掲載は散文部分など、レイアウトの関係で実際いただいた原稿とは若干子tpなっている部分があります。ご了承ください。