
第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立受賞連載
とりとめのこと 未補
沖は沈みさざなみは絶えず目を刷く日の表記とはとりとめのこと
解体ののちの鶏冠の花冷にまだあどけなきノイズを点す
探されることのない舟わかることだけを並べて地図は煙に
ダリア語にかかりきりで薬指は静謐なRAPと遊んでいる
キリストの過去なら質になるという秒針は頽落の途上
オリーブの枝折るときは初雪を身籠ったままはにかんでいて
北がかならず上にくる対位して南から四拍子のワルツ
擦り切れるまでオリオンを眺めては逃れられない呼吸のしじま
鮫のように小火を飼う無月から切り出してきた棺のなかに
手は綴る(かつてはわたしたちだった今は)木目の海の記録を