色は匂へど 三宅やよい
犬抱けば犬のたましいあたたかし
炉に白く焚き残りたる椅子の脚
白鳥を玄関先へ見送りぬ
庭下駄の朽ちてゆく石囀りて
ぽぽぽぽぽ桜木町にメイド増ゆ
蛇出でて思い出せない人ばかり
共食いのはつかねずみの共寝かな
ちりちりとちりめんじゃこのように萌え
龍天へ回送電車くらやみへ
ぬばたまの古雛の髪おそろしき
留守の間に消えてしまいぬ犬ふぐり
置き去りのおとこ集まる桜かな
- 三宅やよい(みやけ・やよい)
1955年 神戸市生まれ
「船団の会」所属
句集『玩具帳』『駱駝のあくび』
犬抱けば犬のたましいあたたかし 三宅やよい : spica - 俳句ウェブマガジン -
on 4月 25th, 2012
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[…] 犬には犬のたましいがあって、自分にもきっとたましいがあって、それぞれに温度があって、と、犬のたましいと同時に自分のたましいを意識してくる句だ。 詩客 4月20日号より。 […]