伊勢へ   藤永貴之

  • 投稿日:2012年10月12日
  • カテゴリー:俳句

伊勢へ   藤永貴之

退勤の夜々に遅れて夜々の月

蟷螂の斧を擡げて動かざる

蟷螂の黒き眼隅にありにけり

舟虫の影もてありく月夜かな

薄雲を脱いだる月の明さかな

磯風の荒々しくも新松子

色鳥の映りて飛べり五十鈴川

水澄みて御裳濯川の名ありけり

薄紅葉雨の木橋の匂ひけり

薄もみぢ御裳濯川に映りそめ

作者紹介

  • 藤永貴之(ふじなが・たかゆき)

昭和49年、福岡県生まれ。慶応義塾大学俳句研究会を経て、現在「夏潮」「惜春」に所属。福岡市在住。

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