大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【十二】                        直立蛇身の抄   男波弘志

大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【十二】 
直立蛇身の抄   男波弘志

枝々に屯す風や夕ざくら

青天のいづこへも花還りゆく

わが還る土にもかへる落花かな

何を見てをるとも知れず花の中

花全部還りし空と思ひ見る

飛火野の鹿よりも花冴えてくる

大日の化佛けぶつの数も花の冷え

尺寸の胎内佛に花の冷え

みちのくの虚空ざらしの落花かな

かんなぎや蚋の吸ひつく袋角

真直ぐのままの蛇ゐて光堂

清衡や胎内経にうごく紙魚

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