人海スペクトル(ガリガリ君による分光) コマガネトモオ
濃紅色の春,続いて淡緑色の初夏が来た
マゼランペンギン舎にも桜降る
ペンギン舎に紛れ込んでじっと餌を狙うアオサギにも,それから
不忍池を旋回するユリカモメ,
ほとんど動かないで絶好の被写体に甘んじているハシビロコウにも
吹雪、はらはらと
桜祭りと銘打ち
アイディアを思いついた時みたいに一人一人の頭上に提灯がともる上野を
昨年はふるえて押し黙っていた花蕾がね,
それと木々の芽もね,
破裂して
小さな祝杯があちらこちらで聞えてくるのだけど.
こういった類の音は,
聞こうとすると聞こえるこうした類の福音は
耳をそばだてている側の問題だけども
われ・らに,五月を※
いまからガリガリ君のコンプリートで
分光
ガリガリ君の水色(サイダー・標準),黄色(マンゴー・期間限定),
それと赤(リンゴ・地域限定),それは虹色のスペクトル
あなた何色
何色に染まるもよし
とにかく人ひと,人の
笑顔弾ける
種子飛ばす綿毛飛ぶ
ハシビロコウとうとう鳴く
初夏
- 注※ 寺山修司処女歌集『われに五月を』の気配が常に漂う五月佳日の制作だが,暗唱もしていなければ参照もしておらずそれゆえ引用はない.