星、いいえ 秋月 祐一
星、いいえ詩歌が降つてくるやうな音のする夜 傘よおやすみ
夜、そして眠れず朝をむかへると 猫が布団に乗つてくること
猫、やがてぼくより先にゐなくなる小さないのち その鼻息の
息、しろく窓を曇らせ たはむれに書いた名前が滲んできえる
窓、だつた君は世界の窓だつた 遠のいてゆくきみもせかいも
君、がゐない世界を猫と生きてゆく 猫に葡萄を与へてはだめ
生、と死のどちらが真の世界なの 猫は思ふのだらうか死後を
死、ののちも葡萄は食べられるのかな 桃栗柿梨無花果などは
桃、がいいやうな気がする 天上のくだものだもの君と一緒に
天、の国だらうかここは? 君がゐて猫もいつしよで満天の星