とほつ世の月 大塚寅彦

  • 投稿日:2013年02月08日
  • カテゴリー:短歌

とほつ世の月 大塚寅彦

白黒のつかざることの多き世や23(つみ)+(たす)23(つみ)は46(しろ)ともなりて

焦げ目ごと餃子食みをりTVのロケめく〈反日〉暴動見つつ 

脱亜入米いまなら言ふか万札の諭吉翁(をう)その表情読めず

奪ひたる土地の数だけ五芒星(ごぼうせい)並ぶ旗なり誇らかに揚ぐ

五芒星六芒星のひかり秘め水晶はあり小さき店に

隔てつつ隔たれしもの映し出す硝子(はり)とふ寂しきもの街に満つ

万華鏡もて都市の夜みるときを曼荼羅めける極彩の満つ

とほつ世の枕絵ふとも見ゆるごと月の斑(ふ)はあり春めくゆふべ

むんむんとペーパームーンを奏でゐる自動オルガン甚(いた)く老いたり

重力に今はしづみて睡りゐむニール船長月あかき夜も

作者紹介

  • 大塚寅彦(おおつか とらひこ)

1961年5月17日生。’80年8月、中部短歌会入会。’82年短歌研究新人賞受賞。’85年第一歌集 『刺青天使』、’89年『空とぶ女友達』、’95年『声』、2003年『ガウディの月』、’11年『夢何有郷』刊行。’04年中部短歌会「短歌」編集発行人就任。日本文藝家協会会員、現代歌人協会会員。

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