雷とピアノ   小川佳世子

  • 投稿日:2020年10月04日
  • カテゴリー:短歌

AFEFD1CA-6327-4AB8-9FCD-E22F32A7DB30

雷とピアノ   小川佳世子 

雷は空の間違い黒鍵を弾いてしまったのちの後悔
おかしな春満開の桜をテレビは何度も映す
夏緑見るために行くストレッチスタッフの後ろは中庭だから
遅夏の射干はしなだれ中庭の影をはつかに重たげにする
老人のための体操行いし後におやつの我はなになり
ホームは今コロナ体制おやつもみな一方向に向かって食べる
夏庭に影は届きて一花のみ咲きしひまわり闇に向くなり
おかしい夏大人しくしていた分熱こもりこんなに毎日暑いんやろか
ひまわりは律義に東を向いており光が少し届きし朝に
ひまわりの花弁は垂れて灼熱の庭もようやく秋に向かいぬ
じゅんさいの池に沈みし真珠の玉月見の晩に冷えているなり
ゆくりなく消えてしまいしひまわりの非在の風の吹く雨の庭
食卓の小さな切り花昨日より今日の花芯の少しのゆるみ
首周りの体操できず無念なりマスクを忘れ取りに帰って
まわりとの年齢の差は三十以上入って四年老人ホーム
気分転換どう?と言われてほぼ毎日電子ピアノを貸してもらって
繰り返しの記号を間違いいつまでも終曲にいたらぬピアノ
新しく何か買いたい月初めさるすべりまだ元気な九月
虫の音が聞こえた気がするこの夕べ明日に広く放り投げたい
嵐山花火は三密をさけ内密に雷のごと打ち上げられつ

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress