第8回詩歌トライアスロン融合部門受賞連載第4回
Fish swimming in the school
豊田 隼人
説明書を開く手つきも愛されて、わたしは校舎を風として往く
光る髪をザサバとよじってつまらない生活ダンスの振付師やらん⁉
わたしの学校の窓は
you can close the window って
示されるまで
ひらきっぱなしだった
多目的室に歯ぎしりの音が響く
チキン食ふ手紙が風を光らせる
冗談を言えない仲や春霞
荻窪の海で痩せます春電車
crazy というよりもstupidだし
鶏肉を食べるくらいならオクラのサンドウィッチにする
カフェテリアで会ったひとたちは
みんな泳ぎ損ねていて
くたばってたのを覚えている
あなたの箸の持ち方を矯正してあげる 響かせてよ
夜の鶯 投擲のアシンメトリー
人生が貌鳥となり膨らみぬ
黒縁のメガネを
とある高邁なtuneにのせて
ドアを蹴破りながら
拾い上げていく
鱗から
不、不、不、不、
すべて、朝の怖さがはためいて
わたし、水かきもないし
誇りに思うのは
先月のattitudeがよかったことだけ
いつまでも彼方にムカついていて
それが積み重なって
就職では不利になるの
にんげんできないにんげんの
学校での泳ぎは
軽い
かろやかなの、意外?
human beings のrightsってなによ
最奥の線路に軋む相談者 今さら悪人ぶらないでくれ
惜春や不屈なだけの魂を
ふわふわの
かりきゅらむの中で
眠ると
黒い袋に入った
文房具や、ノートPCが
よわい光を膨らませようと
懸命に震えているのが
わかっちゃうんだよね、かわいそうでしょ
「不不」と笑む春告魚のAndante
冗談のうまいFish
笑わないし、壊さない
たったそれだけのこともできないで
どうして詩人なの
ていうか暑い日の山を滑り落ちる氷
冗談のうまいFish
日本家屋の仰山あって
楽しいにおいを嗅いでみたら
黒い屋根を売った ことになる
寒さがとおいよ、ひかるよ
泳ぎの鈍くなっていく
階段を、四月を、降りていく陽
認知されていないFish
わたしは、くらくら行ってくるね
やさしさを着込んで山に登るあのとおい身体を描きつづける