第9回詩歌トライアスロン鼎立作品次点連載
draw(引き‐分け) 寺道 亮信
《僭主入場》
───喫緊のキックイン
《前半1分 オウンゴール》
イントネーションの過(※※そ ※れ ほど ※※※で ※もな※ ※ い ※ )労
意
味
が
言葉を所有しすぎている
《前半9分 オウンゴール》
空には気が散る半身の月、半身にも生半可な(ずうずうしくも天体に固執する)それ、
あんた自己防衛にぞっこんでさ
端的になまめかしいのよ
むべなるかな
小学校のプール開きがいつだったか、
正確に、と言わずとも
「いつ頃」だったかもいまいち覚えられなかったけ
れーど
人生が三角コーナーにさしかかって▼▼▼▼▼▼
選ばれなかった未来の滓が溢れ出して
しまっても、
つゆ、ちゃらり、とろりんと、
(アピアランスが中性的と言われるときの中性は、中性
脂 肪の中性と同じだ)
が、生半可な月からこぼれおちんとする
つゆ、生半可なつゆ ゆ。
《後半17分 オウンゴール》
▼▼▼▼▼▼の堆積物からとうっ!けいっ!的に弾き出されるおよそ何パーセントの湿度
にもとづいた 西瓜の皮のごとき見せかけの涼やかな匂い
にもとづいた いき詰まってくるまった絹のテクスチャー
にもとづいた いっさいの色をいんとんさせるための緋色
が なにがしのシーンへとキッドナップする
それがし かし、それがし
かし=仮のわたし、それが、しかし
わたしは、それがし 姓それがし
名かし
それがしかし、たしかし、
わたしは、「わたしは」につづくひとまとまりの文章に過ぎない。
ね、だろうね。なんか文字くさくない?っていうんで。
自己と癒着するか絶縁するか 水と油 か ?
水 か?(自己と癒着するか?絶縁するか?)油 か ?
? ? 油か?tか?aか?bか?uか?lか?aか?
水か油かで言えば油の中を、あわよくばつゆの中を、
ほんとうは言葉たぶらかすスカスカの地獄を泳がせてほしかった
《後半26分 オウンゴール》
わたしは気軽に家出できる▼▼▼▼▼▼に及んでも
この次のクールが(飛切りクールな)
要請するプールがイヤでぎゃンぎゃン(泣くわけはなかった、男の子だもん)
問答した ヒビの、ヒビの。罅の、日々の。ヒビの、クギの、
・(釘)・(釘)・(釘)・(釘)・(釘)・(釘)・(釘)・(釘)・(釘)・・・・・供犠の、ヒビの、
残念でもないし当然のヒビの、クギの、いたたまれなさの、
いたたまれなさへの、いたたまれなさ
がイヤでイヤで、外野で、
じっと
目から ツウシンボが濃縮還元にこだわらせたつゆを流しまくっている。
《後半45分 イエローカード》
青わたしは、青わたしだった。青わたしは、につづくひとまとまりの文章だった。
黄わたしは、黄わたしである。黄わたしは、につづくひとまとまりの文章である。
赤わたしは、赤わたしだろう。赤わたしは、につづくひとまとまりの文章だろう。
《後半生?年 レッドカード》
信号が滲んで見える。
●●●●
胸が熱くなる太古の律動を思い出そうにも、意味が言葉を所有しすぎていて。今晩のブリ
―フの匂いでむせ返るしかない。星は星でも●は天空に現れず、地上の星の過半数は黒く
ろくでもない。血管の内側が鏡張りになってて。スペクタクルの社会の乱反射が、生ぬる
いつゆを追い炊きしつづけている。わたしは、「わたしは」につづくひとまとまりの文章に
過ぎない。気づけば尻から手が生えている。両手が生えている。気づかれなければ足は足
のまますっく。足は尻の両の手だと思うと、浮かばれない季節も臨終へと飛び級ができた。
信号が孕んで見えて●●●●●
(退場)