バスは走る  山本楡美子

バスは走る  山本楡美子

バスは
時間をかけて
夜の海に入ってきた
夜の海は空の海だ
藍色の雲が行く
回遊の流線形だ
片時も眠らない泳層だ
サーヴィスエリアでは
授乳するひとがいる
一筋の乳が見えた
公衆トイレでこどもたちが並ぶ
迷子になるほど長い
乳も
こどもたちも
魚の影も遠のいた
バスは過ぎゆくものにあこがれる
伝えようと
にじみながら
走る
走る

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress