バスは走る 山本楡美子
バスは
時間をかけて
夜の海に入ってきた
夜の海は空の海だ
藍色の雲が行く
回遊の流線形だ
片時も眠らない泳層だ
サーヴィスエリアでは
授乳するひとがいる
一筋の乳が見えた
公衆トイレでこどもたちが並ぶ
迷子になるほど長い
乳も
こどもたちも
魚の影も遠のいた
バスは過ぎゆくものにあこがれる
伝えようと
にじみながら
走る
走る
バスは走る 山本楡美子
バスは
時間をかけて
夜の海に入ってきた
夜の海は空の海だ
藍色の雲が行く
回遊の流線形だ
片時も眠らない泳層だ
サーヴィスエリアでは
授乳するひとがいる
一筋の乳が見えた
公衆トイレでこどもたちが並ぶ
迷子になるほど長い
乳も
こどもたちも
魚の影も遠のいた
バスは過ぎゆくものにあこがれる
伝えようと
にじみながら
走る
走る
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