ひとびとは大地凸部を丘と呼び
ひとびとが時を競りつつ巡る
潜り抜け跳びこす
前半は哲学まみれ後半はITまみれおれの人生
ところどころ捩れても速き破竹川喚び渡りし将門の
十七はおれの吉数その数の鉛筆を研ぎ小箱にたもつ
逢魔どき意志と力がかなしめばこの世の
予の四周にじりじり夏は極まりて
それぞれの背に追い撃ちを浴びせつつ
都会には直方体の反射光 西より北へ救急車ゆく
不意か不図かかみそり皮膚を割きてのち血の浮くまでを心待ちなる
工学に
叫びとはしょせん
連弾が悪循環をいざなえば指関節は触れ振れ
花の寺
作者紹介
- 依田仁美(よだ・よしはる)
1946年1月25日生まれ。守谷市在住。生涯の大半を日立製作所で費やす。「短歌人会」「現代短歌舟の会」「硬式短歌サイト・不羈」
に拠り、短歌を研究的に制作。日本空手道制護会員、現代歌人協会員、日本短歌協会常務理事。歌集:『骨一式』『乱髪~Rum-parts』『悪戯翼(わるさのつばさ)』『異端陣』、作品集『正十七角形な長城のわたくし』『あいつの面影』、秋には『依田仁美(よだじんび)の本』を北冬舎より刊行予定。