わたしの好きな詩人 第75回 – 深尾貞一郎 – 小池田薫

 私家版「深尾貞一郎詩集 朝から眠るまで」が届いた。深尾さんとは一度しかあったことがない。

以前から、高額な詩集が、時には面識のない人からも届くことが不思議だった。そこで、自分の詩集を配らずに売っていたら周りから叱られたことがあった。そのことを、思い出した。

深尾さんのことをほとんど知らないので、あとがきから読んでみた。「本作は、人が人たらしめる部分を、良質に刺激する文章であると確信している。であるから、数度、読み返して欲しい。」と書いてあったので、二度読んだ。

 わたしは残念ながら「詩がわかる」という経験に乏しい。ただ、「読みやすい」「読みにくい」というのはあって、深尾さんの詩には両方があった。読みやすい詩はわかりやすく、読みにくい詩はわかりにくい、と勘違いしがちだが、そうではないことくらいわたしでも一応わかっているつもり。ただ、読みにくい詩について、わかるまで読み返す元気がないということは、実際よくあるが。

 深尾さんの詩は、なんとなくわかったような感じとわけわかんない感じのバランスがよくて、読後感はとてもよかった。わかったように抽象的に詩を評するのが苦手だし、そのように書かれるのを深尾さんはなにより嫌う人のように感じるので、やめておく。

 ただ、深尾貞一郎さんという詩人にわたしは好感を持った。

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