Friday、May 11, 2012   聖杯   野村龍

Friday、May 11, 2012   聖杯   野村龍

蜘蛛の巣で出来た金のzodiacから
朝を紡ぐ蚕達が一斉に零れ落ちる
 
萎えた足を伸ばした  すぐそこの水面で
まるまると肥えた猿の思惑が  浮かんでは沈み
 
額から 瑪瑙を押し込まれると
脳は 大切なのにたちまち破壊される
 
赤い眼の雨蛙を無粋に齧りながら
物憂い稲妻は  午後にゆっくりとやって来る
 
《みて!
ここだよ  ここにいるんだよ!》
 
もうすぐ  聖人指定のフィルムが発火する
少し乳臭い朝鮮人参は  たちまち粗野になり  色褪せ
 
向こう岸で  ふるえる独身が  深く貫かれる
あん!  あん!  あん!  (この行は 不要かも知れない)
 
血塗れの冷たいピーナツ  或いは
霧のなかに顕在するキリスト・イエス
 
芥川さん
あの  夏の麦わら帽子  いったい何処へ  行っちまったんでしょうね

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