砂丘 小崎ひろ子
太平洋側をあきらめたものかどうか
あぐねている最中に気がついたのだ。
砂丘で邸宅遊びをしながら
屛風を立てている子ども達がいることに。
トタン屋根がせんべい食べてとかいう
フレーズを思い出したりしながら
生きるためには
ここでやる気など持ってはいけないのだと
自らを説得しながら
まるで陳腐な映画のシナリオそのままのように
車を走らせようとしている。
みんなだって、出て行くのだろう?車ごと
地球の半分側に。
トタン屋根の邸宅など
とっとと置き去りにして。
短歌3首
ひたる間もなき幻想の合間もてなだるるうつつ桜舞ふなり
一つ得てひとつ失ふつらなりをたたへて水よ永遠(とわ)に濁るな
その水を必要とする都市さへも小さな小さな国のひとひら
俳句3句
立春の風よ人為のように受く
つちふるや違う粒子の身代わりに
花の冷え言わずに済ますこといくつ