俳句時評 第42回 松本てふこ

眠れない夜はtogetterしようぜ!

今日はいきなり短歌の話である。先日、twitterの我がTLで「BL短歌」タグが静かな話題を呼び、集まった作品の一部をまとめたtogetterが4000viewを超えた。

前回の時評にも少々登場したが、BL(ボーイズラブ)というジャンルが主にマンガや小説に存在する。男性同士の恋愛を、多少の美化(戯画化)をくわえ主に女性が楽しむファンタジーとしてアレンジした作品のことを言う。そういった作品の積極的な読者の女性は「腐女子」と呼ばれる。90年代からジャンルとして存在していたが、BL専門の出版社が出来、複数のBLマンガ誌/小説誌が市場で競合するようになった現在は「腐男子」と呼ばれる男性読者も増加している。

まあそれはそれとして。先日私は、たまたまtwitterにアクセスしたところ、石原ユキオ氏がこのタグのことをつぶやいていたので、何それ面白そう、と自分も思いつくままにつぶやいてみたら何だか面白く、調子にのって何首かつぶやいてしまった。

二次創作に励むいわゆる「絵描きさん」が好きなアニメの登場人物をモチーフにして作歌しアイデアのメモ代わりのように使ったり、歌壇の第一線で活躍する歌人が自らの腐属性を活かして作歌したり、はたまた同好の士に触発された作歌未経験者が見よう見まねで作ってみたり、という、実に様々なきっかけでBL短歌タグと出会った人々がtogetterにはおり(作歌はしないが『面白そう!』という一言と共にタグを紹介していく、という参加の仕方もあった)、気に入った作品をお気に入りに登録したり、リツイートしたりしあう、何やら市場のような活況を呈していた。

少年は少年とねむるうす青き水仙の葉のごとくならびて  葛原妙子
こんな目に君を会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ  穂村弘

作歌ではなく、既存の短歌から「そういう」雰囲気のあるものを探し出す方に心血を注ぐユーザーも登場し、多様性のある語りの現場となっていた。3月下旬にオフ会もあるようなので、お邪魔してみようかなあ、などとちょっと思っている。

同じ短詩系ながら、全く違う方向性で盛り上がっていたのが「BL俳句」タグである。こちらは作句で盛り上がるのではなく、既存の俳句でBLを感じさせる句をさがしだして紹介してやがて話は大きくなってBL俳句アンソロジーを作ったらどうだろうか? という妄想へと発展した。

以下、メモ代わりに、その他面白く読んだtogetterをいくつかご紹介したい。

★「@hitsujisakaさんと『彼方からの手紙』
ネタ・お笑い>大喜利というカテゴリにあってちょっとはっとしてしまう、

★「スク水俳句まとめ
スカイプ通話の会から派生したもののようなので部外者にはちんぷんかんぷんな部分もあるが、今後togetterというメディアをより活用していけば面白くなるのかも、と思いつつも、とりあえず学生時代が懐かしくなるこの気分を大切に読みたい。

★「ロンリーズがくる!

俳句との距離感も、取り組み方もそれぞれ。
何かと気がふさぎがちな春先は
色んなtogetterを冷やかしてカタくなりがちな頭を柔らかくするのも
ありかもしれない。

タグ:

      

One Response to “俳句時評 第42回 松本てふこ”


  1. 「BLな俳句」のこと | 石原ユキオ商店
    on 7月 19th, 2013
    @

    […] 句がBL読みできる」という既存の俳句が多く寄せられた。(このあたりの経緯は松本てふこさんの俳句時評をご覧ください。)おそらくはこのTwitter上の盛り上がりがきっかけになって、 […]

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