蛍   浅川芳直

  • 投稿日:2021年06月05日
  • カテゴリー:俳句

65a

蛍   浅川芳直

杉大樹夕立の中に息づける
夕影に虹の匂ひの残りけり
梅雨霧に車の鍵のかかる音
夜を鎮め鎮め蛍火湧きあがる
ほつと消えて目の前にゐる蛍かな
平家蛍幼なの声の消えにけり
ほうたるのこぼれ夜に浮く手首かな
シャンプーの香りのふつと蛍燃ゆ
蛍火の水輪の芯へ還りけり
蛍火の強くなりたる後の闇

浅川芳直
平成四年生。所属は「駒草」「むじな」。第八回俳句四季新人賞。「この本この一句」(「俳句界」二〇二一年一月~)連載中。ここ数年の作品から、あちこちで見た蛍の句を抄録しました。

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress