漂ふ軀 柴田千晶
水洟やバスの後部にフラガール
白菜のまぶしき日暮れ喪服着て
誰か身籠る雪の交雑試験林
白鳥となる白タイツ干されけり
春の雪漬物石にもある輪廻
白椿掃けば漂ふ軀かな
春霙豆電球で造る虫
白無垢の銀糸のごとき春の雨
金星★劇場解体春の霙かな
パチンコ店出でて二月の浮力かな
作者紹介
- 柴田千晶(しばた ちあき)
1960年、横須賀生まれ。
1988年第5回現代詩ラ・メール新人賞、2008年詩集『セラフィタ氏』で第40回横浜詩人会賞受賞。句集『赤き毛皮』(金雀枝舎)、『超新撰21』(邑書林)。
詩誌「hotel 第2章」、俳句誌「街」同人。余白句会メンバー。