

















第10回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞連載
クリスマス24句
山崎 秀貴
ともかくも歌へばクリスマスめくよ
クリスマスカロル大声ヒジャブの子
裸木に電飾縛りうれしかろ
短景の中を鵞鳥の肥りゆく
物乞を避けて聖樹の運ばれ来
観葉植物が聖樹に置き換はる
夜もすがら灯る聖樹や天使不眠
あの星のまつすぐ下の聖誕市
ヴルストに群がる男聖誕市
聖誕市ヴルスト喰らふドーベルマン
聖誕市ぼつたくられて快し
聖誕市ゲイアプリにはあの売り子
聖夜餐あすに控へて湯豆腐す
サンタクロースまづは極東業務から
*
まづヨハンと鵞鳥に名づけクリスマス
祈るかにローズマリーを鵞鳥に置く
よう焼けて聖夜の鵞鳥生き生きす
焼鵞鳥湯気上らすや肛門より (肛門=アヌス)
馬鈴薯の聖夜餐にて輝けり
凍鐘の旋律恐し信者来る
端つこで聖歌唱ふよ黄人われ
消火灯誘導灯聖夜を照す
*
ベツレヘムの星を仰ぐや塹壕より
*
陣痛を知らぬ夫夫の聖夜更く (夫夫=われら)
山崎 秀貴(やまさき ひでたか)
1993年、大阪生まれ。ドイツ・ハンブルク在住。楽園俳句会。Twitter: @hdtkymsk