第10回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞連載 クリスマス24句 山崎 秀貴

第10回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞連載
クリスマス24句
山崎 秀貴

ともかくも歌へばクリスマスめくよ

クリスマスカロル大声ヒジャブの子

裸木に電飾縛りうれしかろ

短景の中を鵞鳥の肥りゆく

物乞を避けて聖樹の運ばれ来

観葉植物が聖樹に置き換はる

夜もすがら灯る聖樹や天使不眠

あの星のまつすぐ下の聖誕市

ヴルストに群がる男聖誕市

聖誕市ヴルスト喰らふドーベルマン

聖誕市ぼつたくられて快し

聖誕市ゲイアプリにはあの売り子

聖夜餐あすに控へて湯豆腐す

サンタクロースまづは極東業務から

まづヨハンと鵞鳥に名づけクリスマス

祈るかにローズマリーを鵞鳥に置く

よう焼けて聖夜の鵞鳥生き生きす

焼鵞鳥湯気上らすや肛門より     (肛門=アヌス)

馬鈴薯の聖夜餐にて輝けり

凍鐘の旋律恐し信者来る

端つこで聖歌唱ふよ黄人われ

消火灯誘導灯聖夜を照す

ベツレヘムの星を仰ぐや塹壕より

陣痛を知らぬ夫夫の聖夜更く     (夫夫=われら)


山崎 秀貴(やまさき ひでたか)
1993年、大阪生まれ。ドイツ・ハンブルク在住。楽園俳句会。Twitter: @hdtkymsk

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