第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立作品受賞連載
dipしたい
未補
これ以上軽くなれない海にいて失くしてもいい骨を明かした
灯台のたもとの花はひたすらに目蓋のなかの釣り糸を待つ
ビー玉の音だけ舐めて空っぽのラムネを煽るなんども煽る
さざ波に飼われてなにも聞こえないruからはじまる愛のことばも
心臓つけっぱなしでライブハウス白抜きの極夜がdipしたいの
きみになる結末ならばくりかえし静脈を梳く墨塗の蝶
水を弾くフラミンゴ あと一指で温室が毀れてしまう
海をみたはずのきのうは窓だった、降る火を溺れてゆく蜩
かろうじて影だとわかる影を踏むわたしが鬼ではじまる九月
貝を踏むずっとむかしに死んでいる雪のなまえを声にひらいて