無関心な人々 林雅樹
パソコンを見つゝバナナを食ふおんな
外を見る日除の隙を指で拡げ
気にかゝる蚯蚓に尿をかけしこと
青梅や指原莉乃はかはいさう
曇天に街安らへる若葉かな
食堂のサンプルに罅立葵
足組めば腿の光れる薄暑かな
釣りに午後つぶす男ら椎若葉
射しこんで西日台形畳の上
蚊帳に入り来るな隣の家の人
灯を消せば鏡しらじら梅雨に入る
火取虫帰りたいのにゐて宴会
我が足の触れ汝が素足卓の下
帯引けば腰元廻る蚊遣かな
アリーナのどよめき夏の深むなり
西日さす電車に泣いてゐる男
丸めたる鼻糞汗に光るなり
スカートの腿に張りつく野分かな
地下駐車場へスロープ夜の秋
蝙蝠飛び交ふ雅樹さん逢ひたいです
灯を消せば鏡しらじら梅雨に入る 林雅樹 : spica - 俳句ウェブマガジン -
on 6月 30th, 2012
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[…] すでもなく光り、 暗くなったこの部屋を見つめているようだ。 「梅雨」もしらじらと始まるように感じられるところに奥行きがある一句。 「無関心な人々」(詩客、2012.6.29)より。 […]