海から散らばる   戸田響子

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【連載 第5回(全6回)】 詩歌トライアスロン

海から散らばる   戸田響子

ぱらぱらとめくられてゆく
ページの隅に描かれている稲荷ずし
ぱらぱらとページが進み
油揚げがめくれあがって
酢飯が飛び出す

ページ
一面に
酢飯

散ら
ばってゆく

マイルドな酸味の米酢を使用

海藻がびっしりからんだ機械室宇宙に送り続ける信号
廃寺から次から次へと伸びてくる烏賊の足からの逃れられない

かみしばいが静かに始まる
星灯りのもと
真っ黒なかみだった

何枚も
かみを入れかえてゆく
わかめが
かみについている

わかめは砂の上に落ち
海のことを思い出していた

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