Imperfect Liberty 山川創
信仰の行列を通り過ぎて歩き始めたとき
追い抜かれたものが
犬、であったか
風、であったか
私の両の眼球が音もなく抜き取られ
供物として運ばれていくのを見た
眼球を持ち去られたら明日から約束は必要とされない
自由のために死ぬまで生きる
不自由のために汽笛を鳴らす
光あれと声に出しても闇の鍋
戦って獲得したいものがもはやなくなって
玄関に積み上げられる人の束
なにを燃料にして進んでいくべきなのだろうかと
束をほどきながらあるいは食いちぎりながら考えていた
理屈ではないと黒い文字で書かれた垂れ幕が青空からおりる
風がなく犬がいない日を重ねていつか誰もが完全になる