魚は睡眠する 山川 創
最後に生き返ったのは魚に出会うためだった
魚は直立したままこちらを覗き込んだ
ハッピーバースデー、と口が動いたとき
風に舞い上がったものはもう忘れてしまった
長い間待っててくれてありがとうこれから君に杭を打ち込む
半世紀をかけて解凍された肉塊を池に投げ入れて
鯉が群がるのを見ている
白馬が馬ではないのと同じように
鯉も魚ではないことを魚は知っていた
ロールシャッハテストを受けた翌日の池で浮いている野原の写真
泡立てば立つほどよくなるような気がしたので
できるだけ大きな音で地面を蹴りつけながら転んだ
あらかじめ内蔵は凍らせてあったから
無事に起き上がることができた
ものすごい数の魚が降ってきてここだけインターネットみたいだ
そうなのだ、さようなら、ぐにゃぐにゃ