大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【六】          江戸の洗濯船   男波弘志

大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【六】

江戸の洗濯船   男波弘志

群鶏の解けたるとき秋に入る

朝顔やすね者ひね者落ちてなし

北斎を囲ひづめなる絵らふそく

秋風や江戸の切子の多面体

びようびようと露のながるる野馬かな

歌麿を謀りづめなる水盥

島原のギヤマンが (あだ) 秋の暮

こほろぎや花魁部屋の切通し

広重をこぼれはじめし水輪かな

吉原の 痣 の煙管を置きにけり

花魁は 赤くて紅くて 寒からむ

邪宗めく薩摩切子やいぼむしり

東洲斎写楽も曼珠沙華も消ゆ

執筆者紹介

  • 男波弘志(おなみ・ひろし)

昭和41年(1966) 真冬 出生
北澤瑞史 創刊 俳誌「季」 元会員
岡井省二 創刊 俳誌「槐」 元同人
永田耕衣 創刊 俳誌「琴座」マンの会 元会員
現在 俳誌「里」 同人
既刊句集 『阿字』(田工房)
合同句集 『超新撰21』(邑書林)に入集

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