大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【九】
点と父性 男波弘志
一点に群る銀河 父そこに
無始にはじまる一点の黙 冬木の芽
一点の父 一点の冬木の 芽
父といふ一点に星悴めり
寒鯉や父性といふはくもりけり
産土のまつくらがりが容かな
同じところの水ばかり吸ひ 寒の鮒
大年の動かぬ海を父と見て
一字一字書くやうに餅丸めをり
木の瘤に坐る獣ら春浅し
鱗一枚 父より剥れ落ちて 春
父に群る一点の黙 春氷
一点に破るる水面 桃の花
執筆者紹介
- 男波弘志(おなみ・ひろし)
昭和41年(1966) 真冬 出生
北澤瑞史 創刊 俳誌「季」 元会員
岡井省二 創刊 俳誌「槐」 元同人
永田耕衣 創刊 俳誌「琴座」マンの会 元会員
現在 俳誌「里」 同人
既刊句集 『阿字』(田工房)
合同句集 『超新撰21』(邑書林)に入集