第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立受賞連載
内在 斎藤 秀雄
白い内在 痛みの位置を滑らせて地平へめくれあがりゆく筒
生き死にのましろき闇へ歯を離す 知覚に開け閉めが昇りゆく
火を練れば空は縹の花畑不要となればはずす花首
糸のように砂が墜ちては法となる鏡面状のへりなき地盤
蛾を焼けばけむりは風の骨格を紡錘としてみずから紡ぐ
切り花の切られるまえのしばらくの笑う幼児のような充溢
花の死をたのしむ水に耳を漕ぐ水に死はひどくゆっくりとくる
心臓に顔を容れるとなつかしい怒りが欠けることなくありぬ
目に重る土の深さのおぼつかな杭のまわりの土減ってゆく
石突きに蝶を殺せばこめかみの雪のようなるものながらえる