
NOIR 内山 佑樹
会ったことないひとばかり 教室で春の右辺を展開してる
検察のファム・ファタールとして五月、雨にきらきらひかる殺人
刺すときは全体重をかけること 結婚行進曲がきこえる
六月のともだちの数かぞえてはまわりつづける天体模型
七月の噴水の水はつめたくて 地階の白骨紳士は憩う
メス、メッツェン、ペアン、 、夏の日の無影灯としての向日葵は
せぷてんばーいれぶんかえりにろーそんかふぁみりーまーとであいすをにほん
革命は事務の堆積 十月を配る新宿歌舞伎町にて
手に取りてなお手に取れぬ霜月のユリイカ 君の寝顔かわちー
磔刑の前夜葡萄の精霊が声ひくく語る犯罪理論
Amazonでポチッた自己肯定感の不在票だけ届いてて草
風葬を語るあなたの声清く冴えるきさらぎには熱いラテ
内山佑樹(うちやま・ゆうき)
未来短歌会彗星集にて加藤治郎に師事。