鳥と刺繍 箱森 裕美
行く春の紙に定規の線一本
球弾ませつつ青葉を人来たる
栗の花麺ぐづぐづに煮ることも
書きさしのノート何冊山ぶだう
残菊や舞台に人を殴る音
さやけしよ樹木名札の傾きも
カリフラワー瓶にぎうぎう細雨の夜
雪鳥や刺繍の花のその軽さ
バスボム果てラメあらはるる二月かな
しづけさの指紋認証凍ゆるむ
俳句結社「炎環」「紫」同人。俳句ネットプリント「はるのもりばん」メンバー。即吟会「袋回しくるくる」不定期開催。2020年、第51回埼玉文学賞 俳句部門 準賞・第10回百年俳句賞最優秀賞受賞。