顔が凄い 柳本々々

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顔が凄い   柳本 々々

ええと、詩と川柳が混ざったものをこれからはじめます。町田というひとと仲良くなったことがあ
るので□ばかりの名前なんですがその町田の話をこれからはじめようと思います。ときどき川柳が
おもいついたように挿入されてきますが、ぼくにもまだどうしてそんなことが起きてしまうのかわ
かりません。ときどき手がふるえます、はじめます。

町田の手紙はいつも何かを伝えようとはしないし、何かを終わりにするためでもなかった、そうい
う手紙を受け取るときのぼくの気持ちは、いや、川柳が入ります、

  (眼のように花火のように煮るように)

ずっと真っ暗なでんしゃにのってどこまでもゆくんだと思った 真っ暗なでんしゃにのってぼく
は町田と桜をみていた ふたりともマスクをしていたしぼくのうしろの人間もまたマスクをして
いた ぼくの横にいたにんげんもマスクをしていた まあみんなしていた ぼくに町田の肩がぶ
つかってぼくと町田の状況をつくった、これらは言語で行われた、すいません、また川柳が入りま
す、

  (川柳の形態変化血を零し)

日常の他愛もないことを伝えないし、文字に奉仕することもない、会話・対話・労働を引き起こさ
ない、町田はいつもそんな顔をしていた、町田と会ったのは渋谷で、ごめんなさい、ここでまた川
柳です、呪いっぽくまたがります、七七五です、

  (ハチ公の前具体的にかかる呪い)

でんしゃのなかにはずっと星がながれていたぼくはつい町田にでんわをかけそうになる。隣にいる
のに。川柳です、七七七です、

  (排水溝に吸い込まれゆくゴジラ幼生)

脱ぎ捨てられた防護服の束やマヨネーズや神秘的な力のことを考えたのは考えたくなかったから
だ。また川柳です、七七です、あなたの立場で(買う)を(売る)にしてもらってもかまいません、

  (高品質なぼんやりを買う)

あけがたに町田のとなりでマヨネーズについて考えるにんげんがいるだろうか たとえばゆくす
えとかマヨネーズについてぜんぶマヨネーズにになわせちゃおうかとおもって そういうことを
考える人間は、ずっと揺れているのは誰だろう町田、最後は七七の川柳で終わります、そしてその
川柳によってこの詩を終わります、俺にとっての町田の話を終わります、

  (戸を閉めたあとの顔が凄い)

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