日本の国のアリス  吉田竜宇

日本の国のアリス   吉田竜宇

海の向こうにはアリスという名の少女さえ生まれる国があって広がる海

海はひとつしかなく 海の向こうのテーブルの上に紅茶がはいっているよ

夏に起こる出来事で手帳を埋める知らないひとに遊んでもらう

狼の代わりに銃を向けられて黙ったままでいるのが悪い

知っているかぎり兎の別名を教えて最後にはうそをつく

野の只中へ捨てに行くならこいびとの名には花冠を加えて

制服で出来ることには戦争も含まれるから手でしてあげる

だから論理論理切なくて涅槃図の鳥獣をみな追い立てている

はなびらは辞書の一枚ほど薄くあなたのために和訳をするね

海の向こうからアリスという名の少女さえ生まれる海の向こうからやってきたのがぼくらだなんて

作者紹介

1987年生。2010年、第53回短歌研究新人賞受賞。

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