きれいな字 しなだしん
神がゐるらしいと秋の蒲田まで
九月来て糊のチューブの腹を押す
歌はいい歌はいいねえなどと桃
撫子があるからしづかにしてゐる
濁酒酌み月下の川をゆくごとし
虫売が虫へささやくパスワード
山暮れて案山子の骨にかぜの音
月を射る角度にからすうりの赤
人の手は林檎を載せて完成す
秋深し性交といふきれいな字
今月(2011年9月)、第二句集となる『隼の胸』を刊行の運びだ。
この『隼の胸』ではあまり遊びの要素をもりこむことができなかった。
今後はもう少し自由な、ちょっとおバカな俳句も作ってゆきたいと思っている。
作者紹介
- しなだしん
昭和37年 新潟県柏崎市生まれ。東京都新宿区在住。
「青山」当月集同人/俳人協会終身会員/「OPUS」「田」所属
第一句集『夜明』(ふらんす堂)