惜別の歌 ―国際日本文化研究センター教授・末木文美士氏に      狩野一男

  • 投稿日:2013年07月26日
  • カテゴリー:短歌

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惜別の歌

―国際日本文化研究センター教授・末木文美士氏に
                            狩野一男

おいらはなサッチョウドヒに蔑(なみ)されし〈白河以北〉を誇る者なり

天罰や神罰・仏罰くだされて、拝承しつつ人間稼業

純然たる地球現象と見るなくて地震、津波を把握し得るや

東日本大震災より二年過ぎ心身ともにぐらぐらである

  東日本大震災をめぐって、「震災天罰論」の問題。

取り消された石原「天罰」発言に理解大きく示したる論

日蓮の『立正安国論』も出し天罰論をすすめられたり

〈天罰という見方は、必ずしも不適当といえない。〉んですか?

〈「天罰」として受け止め、謙虚に反省しなければいけない。〉とか

結語では〈、日本全体が責任を持たなければならないことだ。〉とも

天災に刑法犯的人災が複合せり、とする我の説

  夫人のメールで知ったのだったか。

フクシマへ「講演行」をされしとか聴きたかりけり無念なりけり

  僕の責任行為として、あなたへ原稿依頼できる状況ではなくなってしまった。

変節やまして撤回などをせず大学者道突き進むらむ

ではあるが、末木文美士うたふべし3・11を是非詠みたまへ

若き日のあなた思へば切なくてマックス・ヴェーバー読みたくなりぬ

  学界だって、ある意味では戦場だろう。

人の世の常なる別れをするにあたり武運長久お祈り申す

作者紹介

  • 狩野一男(かのう かずお)

1951年、宮城県栗原市(旧花山村)生まれ。1974年、コスモス短歌会入会。現在、選者、編集委員。宮柊二記念館運営委員。

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