似ていることから親になる 鈴木一平

鈴木詩131101

似ていることから親になる 鈴木一平

頭のなかにしか森はなくても、そこで
寝る人、笑いながら起き上がる人が
次にすることは
どうしてもわかってしまう。でも
そのわかる、を越えたところに
本当の森が
頭のなかで育つから
忘れることが伐採していた。いつも、父がそばにいてくれた
気がつけば、父とは
そばにいてくれることを表している。向こうに
白かび生えたブナの木が
雪崩れ込むように
立ったまま
寝ている人の頭を
打ち落としてはならべていくのだ。私は
ここにいてもいいのだろうか。
いちどだけ潮の満ちた森、踝をひたすほど
そばにいてくれることが
死んだ人の頭を
ふくらはぎまで踏んづける。またぐように
まねしないように
足をひらくと
生まれてしまうが
水の際まで体が透ければ
似ていることから親になる。すり傷があれば
そこから私に似るだろう。
口のすき間から
樹液をこぼして、起き上がる日を待っている

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