似ていることから親になる 鈴木一平
頭のなかにしか森はなくても、そこで
寝る人、笑いながら起き上がる人が
次にすることは
どうしてもわかってしまう。でも
そのわかる、を越えたところに
本当の森が
頭のなかで育つから
忘れることが伐採していた。いつも、父がそばにいてくれた
気がつけば、父とは
そばにいてくれることを表している。向こうに
白かび生えたブナの木が
雪崩れ込むように
立ったまま
寝ている人の頭を
打ち落としてはならべていくのだ。私は
ここにいてもいいのだろうか。
いちどだけ潮の満ちた森、踝をひたすほど
そばにいてくれることが
死んだ人の頭を
ふくらはぎまで踏んづける。またぐように
まねしないように
足をひらくと
生まれてしまうが
水の際まで体が透ければ
似ていることから親になる。すり傷があれば
そこから私に似るだろう。
口のすき間から
樹液をこぼして、起き上がる日を待っている