詩人の爪
2012年8月29日
コマガネ トモオ
爪は骨ってわけでもないのに残る.
骨の硬さはないのに残る.
ただの角質なんだって,ウィキによるとね.
だけどもあとに残る.
角質なので日々伸びる
その分だけちまちまと
たまに切る.
雑に切ればあたりに飛び散って
しかも残るから
刺さる.
痛い.
いつ切った破片なのかこれ
刺さる.
私は日本に住んでいて,家の中では素足で生活しているので
素足に刺さる.
痛い.
ぐさっと胸に突き刺さるのだよ,きみ.
これはすべて比喩だ.
ほとんど面識がないけども
たまに事務的な連絡にあなたの名前があり,
あなたの攻撃的な論調にびっくりしてあるいはぽかんとひたすら感心して
世代的な知識(読んでて我々世代が本屋のフェアや映画の趣向で学識に偏りがあるんだってことをいつも思ったよ)を総括してくれるその鮮やかさに
コーヒーをぽてぽてと詩手帖にこぼしたり
才能って顔に出るというかむしろ若干の挙動不審な感じが美しさと不釣り合いで
狂気が輝くようにきれいだったな
と思いながら読んでた私は読者でね,
あなたにはがきを書きかけだったのだよ.
最近は忙しくていろんなはがきが書きかけで,頭の中で書いてることが
ほとんどだけど,今回に限ってはブツがある.
コーラック過剰に飲むなよ,って内容なんだけど
その時何を知ろうとしたのか教えてほしいっていうこれ,
不謹慎なこれどうすればいいのかな.
暗雲をたくさんたくさん焚いて
低い曇天に一筋ゆらぐ灰燼を立てたね.
灰色のあれってやつはどうして上昇するんだろう.
熱による?空気より軽くなるから?
ゆくえを見上げていくしか…….
―― 夭逝した才能N.Y. へ