立春 来住野 恵子

立春 来住野 恵子

越冬の荒波
ジョウビタキの尾の炎のいろ
飛び立つ火影(ほかげ)をさらい
突き抜けて
空(くう)を切る
 
風の心臓
晴れときどき雪
心拍を送り出すごとに運ばれる
夢と
らしんと
ハ長調如月(きさらぎ)の一途な光から海が始まって
 
死の芽へ向かう奔流
さくら百年の深呼吸に明るみ
あたらしい地の匂いが
聴こえてくる
その身、火の耳あまねき海峡をわたれ
風の胎動、夢、らしん
額にかかる雪を払い
いま会いにゆく
走ってゆく

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