執筆者紹介
- 兵頭全郎
【略歴】
1969年 大阪市福島区生まれ。
2002年 ラジオ番組の川柳コーナーに投稿を始める。ネット句会「空の会」入会
2004年 川柳倶楽部パーセント入会
2006年 川柳バックストローク入会、2007年より同人
2009年 川柳結社ふらすこてん設立同人、同誌編集人
2010年 川柳誌「Leaf」創刊同人、同誌編集人
ふと立ち寄っただけのつもりの川柳。それがどうしたわけか、奥へ奥へと足を進めさせられて現在に至っています。そんな中で川柳には、学ぼうとした際に読むべきもの、川柳とはなんぞや、というものがほとんど無いことがだんだんとわかってきました。と同時に、俳句や短歌といったものに比べて様々な点で数十年単位の遅れがあることもわかってきました。
今回、縁あって「戦後俳句を読む」へお招きいただき、この機会に「戦後」という大きな時代の変化のなかで、川柳がどのように現在へと進んできたのかを自分なりに考える場にしていこうと思っています。ただ元来寡読なうえに資料も少なく、ましてや俳句・短歌に関しては完全な素人ですので、あくまで川柳の目から見た読みの文章になると思われます。
当面の材料として1993年発行の「短歌 俳句 川柳 101年 1892~1992 新潮・10月臨時増刊」を用います。刊行年ごとに各ジャンルから1句歌集より20句歌が抄出されており、三枝昂之(短歌)・夏石番矢(俳句)・大西泰世(川柳)の三氏がそれぞれに短評をつけています(刊行年に関しては一部不正確な場合もあるようですが、便宜上この本での年度分けを基準とします)。これを基に、各回のテーマに合う川柳を選び、同年度(あるいは近い年度)の俳句・短歌を比較対象として見ていく予定です。ただし川柳に関しては遺句集が多いという事情もあり、必ずしも時期的に平行していない可能性がありますが、これも併せてその時代の流れの一つとして捉えていこうと思います。よろしくお願いいたします。