見よ。それが欠伸をすればおののきて逃げまどふのみちひさきわれら
高木佳子「見よ」 「壜」2号
高木佳子はいわき市在住。まさに、被災地の真ん中から、いちはやく個人誌「壜」を発信した。ライフライン切断の中で、刊行中止も考えたが「私の地震前の短歌の創作活動を知っていただきたいということはもとより、震災から。歌もまた復興させなければならない、という決意のもとに発刊することに致しました。これが被災地にいる歌人からの発信として届けばと思います」と記す。通常の冊子に、震災後につくられた「見よ」七首を載せた挟み込みが添えられて全国に発信された。掲出歌はその一首目。七首目は「うろくづはまなこ見開きいつの日かわれらが立ちて歩むまでを 見よ」と力強く詠われている。