ガールズナイト 尾久守侑
それはただ、
それはただ、満たされないだけでは?
クリックしてためいきをついた
東京にいるのに
どこにいてもかわらないであろう距離が
わたしとあなたを混乱させている
みただけで何もかも
感じとれる人がふえてきて
あなたは呼吸回数と運命ばかり気にする
女性になったとききました
あなたのいう運命の人って、つまり
なにかをしているようでいて
そうではない、神楽坂から
六本木まで、六本木から
どこか遠いところまで
そんなありふれた跳躍で
油断しないでほしい
いますてた
そのひとがたぶん運命の人だし東京には
なんにんも運命の人がいるってこと
アクセスできない日にかぎって
配達員が玄関をノックする
あなたはそれにも意味を感じてしまう
MASAHARUという
なまえがあるから、運命の人って
その人はただの、配達員なのに
あなたは都営大江戸線にのって
MASAHARUとエスニック料理をたべにいく
みるめないね
中吊り広告はなぜかわたしにつきささる
誰かに似た横顔が
電車をおりていく、そのとき
賑やかな駅の雑踏が
うずを巻いて消えていく気がした
視界がゆらぐ夜
改札でまっているのは
わたしなのか、それともあなたなのか
どこでもない場所にiPhoneはいらない
矢印のない地図に定位されて
わたしにはあなたをとめることはできない
こんなに遠くても、こんや
わたしたちは久々に会うらしい
あなたのいう本当の女子会が
この世に存在するのであれば