僻陬迷信 清水亞彦
きたかみの0番線におり立てば水にとろくる金魚のほむら
詰めものとなしし
つかさなど何ほどもなし、ここだくの乾電池
いつさんに逃げしをとこと百日余。泥かきながらゆめと
片寄する高速道路高架下ほぞ黒ずみてふうふとなれり
ツルボ抜きツルボ植ゑかふ朝夕の行為のいくつ
れんたいの帯びらびらの
まぼろしがオキナハに似るこころもち駅裏ノ店はた濡れいくり
武江より佳き金魚ぞとおこせたる四尾の死にを埋められずゐる
くるまどち縦列睡眠、ひきしほの真魚の委らに
胸中の山かは
雪村をののしりたまへ斯くまろく装飾的なる
復興をかきつけ記すあたりより
天彦のおとなはばこそ経・済の肚をむかふる餐庁もあれ
ふたいろは朦朧模糊と立たす虹うしろに銭をささやく聞きて
ゑらゑらに事しながびく
きたかみの0番線に遯走のあが身の
天彦の八たびおとなへ鰭のもの、鮑、松の藻、舌ひひくまで