犬 伊武トーマ


犬 伊武トーマ

道端の 
石ころのように見向きもされず 
飢え渇き 
すりきれた影をひきずる犬よ 
 
かつて 
革命の火とよばれ 
完膚なきまで戦い抜いたおまえ 
ぼろぼろの犬よ 
 
風が吹くたび 
飛ばされてしまいそうなおまえだが 
その澄んだ瞳にはまだ 
熱い火がきらめく 
 
滅びゆくものはつねに独り 
過去も未来も 
一夜のまぼろしと消え 
滅びゆくものはつねに独り 
 
何ものにも屈することなく 
自分自身であるための最も激しい戦いを 
戦い抜いてもなお飢え渇き 
すりきれた影をひきずる犬よ 
 
風が透いて通るほどすかすかの 
ぼろとなってもおまえは 
たったひとりの革命を成就しようというのか 
犬よ 
 
  わがいのち尽きるとも 
  瞳から瞳へ 
  とわに 
  火は継がれゆく… 
 
滅びゆくものはつねに独り 
絶望も希望も 
夜半の煙と消え 
滅びゆくものはつねに独り

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