旅番組について   濱田友郎

  • 投稿日:2017年09月02日
  • カテゴリー:短歌

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ありふれた怠惰に屈していくような季節の中でたまごを茹でる

反射物いろいろとありぼくの顔がいつもちらつく真夏の梅田

こらーって何年ぶりに言われたかわからずソファに麦茶をこぼす

ミサイルが来るときは窓のない部屋に逃げてとひまわりに言えるのか

キッチンにすずめが入ってきてしまいやがて出ていくさてぼくたちは

なんで遠慮してるわけ? こぼれそうなビールのようにぼくは頷く

駅にある小さな本屋に選ばれた小説なのだ 雨はつづいて

限りなく高貴なものと限りなく俗なもの yeah 苔むす寺に

ドーナツを愛する母の年金がみんなポン・デ・リングならね……

千年ののちにもきっと人類はきのこの襞から眼を逸らさない

踊りたいというか踊らされたくて旅番組のような生活

弟子が川で溺れてる時キリストが考えていたことなら分かる

いつまでも白いちょうちょのバレッタに掴まれたままのあなたの時間

セフレじゃないよね? うんむしろビートルズかもねロンドンの屋上の

たち消えたアイデアたちがぼくを航空母艦で待っていたらうれしい

奨学金決まったきみがこれからは毎日食べるトルコのアイス

わたし眠る われら府民の淀川に低体温症の蟹眠る

習慣と運。あとはゲームやわ。千のナイフの降る舗道かな

濱田友郎
こんにちは。一九九五年奄美大島生。京大短歌所属。
twitter : @h_tomoroh

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