水あかり 高塚謙太郎
ペットボトルにて見わたすとかすかに
かすかに水の
水無瀬の夕べは和綴じに近い
ま近くながれている夏の深まるにおい
暗い水がみつかり
胞子のいろいろは深くひらく
ひらいた喉のあたりに羽虫の
虫干しに追いつけなかった羽がひかり
かすかに水の在処がわかる
ひとつの文字とひらき細くよれて
「いつかおとづれてくれるでしょうか
「まっていてください水の
いつまでも待っていた水にうつろう夕べの
ふいに明るくみえとたんに暮れはてた水の在処で
ながれていく夏の微温のせせらぎにて
ぬれている喉の栞はぱっと散りして