水あかり 高塚謙太郎

高塚詩130621

水あかり 高塚謙太郎

ペットボトルにて見わたすとかすかに
かすかに水の在処(ありか)がわかり
 
 
水無瀬の夕べは和綴じに近い
ま近くながれている夏の深まるにおい
 
 
暗い水がみつかり題箋(げだい)はしめり
胞子のいろいろは深くひらく
 
 
ひらいた喉のあたりに羽虫の
虫干しに追いつけなかった羽がひかり
 
 
かすかに水の在処がわかる
ひとつの文字とひらき細くよれて
 
 
「いつかおとづれてくれるでしょうか
「まっていてください水の夏辺(なつべ)
 
 
いつまでも待っていた水にうつろう夕べの
ふいに明るくみえとたんに暮れはてた水の在処で
 
 
ながれていく夏の微温のせせらぎにて
ぬれている喉の栞はぱっと散りして

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