しるす 岡田ユアン

しるす 岡田ユアン

言葉を必要としない
時の因果をかみしめている
 
しかし 私はせきたてる
深海の地形を測量するように
海をえがけ
 
これからとどく
生まれたばかりの
惑星の光を探すように
宙をえがけ
 
そんなときほど
ろくに見えてもいないのだ
海も 宙も
 
言葉を手放して
はじめて
言葉は旅にたつ
 
忘れたころに帰ってきて
旅先での出来ごとを
こっそり胸元で教えてくれる
 
私はそれを
書きしるしさえ
すればよかった

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