Fireworks 野村 龍
内気な噴水から
花の歯車が溢れ出す
赤い巻き毛を靡かせながら
火の精が
金色の影の周りを飛び交う
しっとりと降り続いた雨があがるとき
Musa の すべての指に 光が点り
ため息は
柔らかな竜巻となる
砂の玉座には
萌葱色の希望が腰を掛け
僅かに残った地表では
クピドの甘い弓が引き絞られる
露草の 揺れる囁きの影で
本の魂が 蛍達に焔を授け
瞳を秘めた杖の先から
稲光と
囁きとが交互にほとばしる