あの日、猫になるまで 光森裕樹



あの日、猫になるまで  光森裕樹

Internetに繋がらざるは服を着てをらぬに等し泳ぎにゆくか

がたん

並走する列車のなかをあゆみゆく男ありどこか吾に似てをり

ごとん

並走する列車のなかを見つめゐる吾ありどこか彼に似てをり

水筒が似合ふ駅員さんに訊く地図看板の立ちたる場所を

人をして二〇〇立方メートルの水溜めしむるちからの在処

Beeeeeeeeep飛び込まないで下さい!といふホイッスル 仕方がないよもう飛んだから

まひるまの月の引力に身をゆだね水面へ向かふ息を吐きつつ

“Flip the switch on, and the rats remember. Flip it off, and the rats forget,”

Cloudと呼ぶとき天にあるごとし吾の記憶は燦然として

金切り声を紅く染めたるものに見えつひに手折らずをり曼珠沙華

Wikipediaに光森裕樹は猫と書き国を嚥むごとあくびをしたり

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