これはそういうおはなしなのね 豊田 隼人
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「だから、うんうん聞いてあげるから、黙って紙を破棄しつづけて」
「犬の中、眠り就くのは許すから悲しい話だけはよしてね」
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かみさまがその
重たい骨を打ち鳴らせば
冷たいポケットが縫い生まれ、
そのポケットを翻すと
要らないポータブル充電器が出てくる神話
五月雨や温度に肌の翻転す
吾子の意を骨音に知る青葉潮
海辺の町はクッキーに弱い
あの甘みとかザクザクとした食感は好きだけれども
グルテンフリーを信条とする
町人たちは
食べた途端に笑いと怒髪を毛穴から噴き出してしまうという説話
行列に並ぶ(、、、、、、、、、、)潮(うしお)のフロックス(、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、)
新しきルールを捲る電波の日
幸せの蓋を開けては閉める暮らしの
右手に塩鶏を握ると
そのあらゆる滋養の豊富さに
日常の単調な動作も土のようにゆたかなのであると
みんなしてプロテイン粉を溶かすために身体を動かす童話
筋肉の奥までさつまいも植ゑる
石にさえ動きのありて、初鰹
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「あなたって天才なのね 恐竜の頃からずっと生きてるみたい」
「神も感情も肉も要らない これはそういうおはなしなのね」
「非人間的営みの例を挙げるならここでこうしていることでしょう」
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わたしたちのクラスでは
クイズゲームのルールが大きく変わってしまった
そのことを嘆く同級生を救心錠剤で
掬ってあげることは優しいことであると
愚かな大人が愚かな子供を慰めてくれる民話
Q&Aの時間を猫の恋
虎が雨 こどもの菓子を奪い取る
クローゼットからクロムハーツをつけた
黒猫が飛び出し、玄人の寛太くんは
苦労なくしてクロマキー処理を終え
クロロホルム飲んで
黒い肝臓を思って死んだ秘話
消えたホームページのまっくらな滝
花瓶の水に華美なる黴のある山葵
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「君の膝の温感・震え・犬臭・心音 ぜんぶ脚色されてるね」
「あさっての会議のための睡眠をあなたの話のなかでつづける」
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